2024年のクリスマスは、ベトナムで迎えることになりました。近年のベトナムは経済発展のスピードが目覚ましく、日本でもエンジニアの外注先や企業進出先として注目を集める国です。
私がまだ大学受験を控えている頃、予備校の先生が「ベトナムは物価が安くて素晴らしい国だ」と熱弁していたことを思い出します。それから数十年——ベトナムの物価は上がっているようですが、それでも日本に比べればまだ手頃で、円安のいま、“我慢せずに外食を楽しめる国”として人気があるのも納得です。
そんなベトナムの空気を直接感じたくて、今回は少し長めの休暇も兼ねて訪れてきました。
行程はホーチミン → フーコック島 → ニャチャン。
どの街もエネルギッシュで、街のざわめきや人の笑顔に活気を感じます。
ちょうどベトナムについて調べている頃、到着する翌日にホーチミン市内では待望の地下鉄(メトロ1号線)が開業するとのニュースが。みなさんも、ベトナムといえば無数のバイクのイメージがあることと想います。長年の交通渋滞に悩まされてきたこの街にとって、歴史的な一歩です。お祭りムードの中、さっそく現地へ足を運んでみました。
この地下鉄の建設には、日本の企業——住友商事なども関わっており、高架橋や車両基地の建設など、日本の技術が随所に活かされているとのこと。駅前には記念撮影をする人々が集まり、開業初日のホームは活気にあふれていました。

当初は外国人向けの乗車パスを購入するよう案内されましたが、数時間後に再訪してみると、「開業から一定期間は無料乗車に変更」との案内が。さっそく混乱を感じさせる初日でしたが、せっかくなので何度か乗り降りを繰り返して、人々の高揚感や、初めて鉄道に乗る子どもたちの笑顔を間近に見ることができました。
日本人にとっては見慣れた鉄道の光景ですが、ドアが開いた瞬間に“いつもの感覚”で近づくと、警備員の方にすかさず制止されました。安全管理が徹底されており、新しい交通文化がきちんと根付こうとしていることが伝わってきます。
しばらくすればきっと、ベトナムの人々も日常の一部としてこの地下鉄を使いこなすようになるのでしょう。でも、その「最初の一歩」を街全体が祝福している光景に立ち会えたことが、何より印象的でした。
この街の成長には、“変化を楽しみながら受け入れる姿勢”があります。それは、急速に進む経済成長の中でも失われない人の温かさ、そして新しい仕組みを自分たちの文化として取り込もうとする柔軟さです。
出来立ての駅周辺は、まだまだ発展の途上にあります。地下鉄の駅周辺では、次々と新しいビルが立ち上がり、新たなホーチミン中心部のまちづくりが急ピッチで進んでいました。街全体が「新しい時代を迎える準備」をしているようで、その変化のエネルギーを肌で感じられるのは、とても貴重な体験でした。
マーケティングの観点から見ても、完成したインフラに合わせて人々の生活や文化の中にどのように溶け込んでいくのか。その“最初の瞬間”に立ち会えた旅となりました。


