あっという間に12月。気づけば今年も残りわずかという頃、札幌への出張が入りました。
正確には札幌から少し離れた江別への訪問だったのですが、直前まで業務が重なり、飛行機を手配し、ホテルを探し、資料を詰めて……と、気づけばあっという間に前日に。
出張当日。
「名刺は持ったかな」「交通手段は大丈夫かな」と、いつものように頭の中でチェックをしながら家を出発。関東は暖かかったものの、一応コンパクトなダウンを着て出かけました。
そして札幌に着陸しようと窓の外をみると——目の前に広がるのは一面の銀世界。
空気が冷たく澄んでいて、頬に当たる風が北海道の冬をはっきり告げていました。
「雪! そうだ、北海道の冬といえば雪だった…」
頭では分かっていたつもりでも、足元はいつもの履き慣れたスニーカーだったのでした。
市街地は除雪が進んでいて、人も多く、慎重に歩けばなんとかなる。しかし、少し郊外に出ると状況は一変。雪が積もり、足元はツルツル、寒さを気にする余裕もなく足元に全集中です。
Googleマップで江別の訪問先までの経路を確認すると、「バスで20分ほど」と表示されたので安心していたのですが、最寄りのバス停に着いてみると、そこから先は真っ白な雪道。歩こうにも、雪の深さが40-50cmほど
結局、夏場ならバス停から徒歩5分ほどの道のりを歩くことができず、近くのコンビニからタクシーを呼び移動することになりました。「最初から駅でタクシーを拾えばよかった…」と、軽く後悔。
ほんの少しの下調べと想像があれば、違う選択をしていたはずです。
札幌の雪道で感じたのは、
“想定していない環境下では、当たり前の判断が機能しない”ということ。
この経験は、まさにマーケティングの現場にも通じます。
私たちはつい、自分の慣れた環境や前提条件の中で物事を考えがちです。
けれど、顧客はいつも同じ条件ではありません。その時々の状況、感情、季節、タイミングによって、求める体験は変わります。たとえば、同じ商品でも「急いでいる人」と「じっくり選びたい人」では、必要な導線もメッセージも違う。
今回の出張で身をもって学んだのは、マーケティングの原則でもある“顧客の立場に立つ”とは、
頭で理解することではなく、その瞬間を具体的にシミュレーションしてみることだということ。
顧客がその場で感じる寒さや不便さ、焦りや安心。それを一歩先回りして想像し、準備しておく。
その積み重ねが、信頼や満足を生み出していくのだと思います。
札幌の雪道は、足元だけでなく、自分のマーケティング思考も引き締めてくれたような気がします。
「その瞬間のシミュレーションを怠るべからず」——まさに、現場が教えてくれたマーケティングの原則でした。



